悪魔のささやき
支店長は、早く面倒な髙橋を追い出すために作戦を練ります。
そうだ、あの手がある。
GEでは、全GEグループ企業間で職種の募集があり、GE内で採用してもいいし、中途採用してもいいというシステムがありました。
そこで、髙橋を追い出したい支店長は、こうささやくのです。
「海外に行ける一番確率が高いのは、マーケティング部で能力を磨くことらしい」
当時、私は焦っていたのです。
一年高校を休学し、イギリスへ逃亡、そして、高校卒業後は、一年フリーターで若い時の2年を既に使ってしまったのです。
大学卒業時に既に24歳、そしてこのささやき時は、既に27歳の時だったのです。
30歳の前にどうしても海外で働きたかったため、とにかく時間がなかったのです。
30を超えてしまいますと20代と同じようなことはできず、30代では、落ち着かないといけないと考えておりました。
そんな状況の中でのささやき、
そして、グループ会社でマーケティング部署の募集があったため、もう焦っていた私、髙橋は、仕方なく応募したのです。
熱意が認められグループ会社の応募で合格となったのです。
(そんなはずないだろ!!、支店長が髙橋を出したいがため、推薦した?
そう、それ、間違いない)
GEの人事部は、懲りずに、また、髙橋を事業が伸びている会社のマーケティング部に行かせるという失態を行ったのです。
もしかしますと、一応結果も残していたし、少しの期待は、あったのかもしれません。
ただ、そもそもマーケティング部という名前がカッコよかっただけで何をする部署なのかよく分からなかった、髙橋。
その会社は、クレジットカードでのキャッシングが主な収益であったため、とにかくキャッシングを使ってもらうことが大きな役割でした。
本当は、キャッシングなんて使わないほうがいいのですが、キャッシング業界を見ていると闇が見えてきます。
主婦の方が旦那さんに内緒で借りているため、家にハガキを送らないでくれ、など、主婦の人が借金まみれになっているのをよく目撃しました。そして、リボ払いもあるのですが、リボ払いは、殆どが、利息となっていることが多く、数年経っても元本が全く減っていないことに驚いて、怒り出す人も多くおりました。
リボ払いが危険であることの周知はせずに、リボ払いを勧めるという、利益追求のみを行っていたのです。
とにかく、キャッシングを使ってもらうということを目標にしており、何をやっているのか、本当にこんなことが、仕事なのかとまたまた自問して仕事をしていました。
働いている人達は、別に悪い人でもなく、いい人なのに、とにかくキャッシングをしてもらいたいがために、
費用をかけて、電話や、DMを使って多くキャッシングをしてもらうように(=キャッシングしてしまう人々からもっと利息を取り、より一層貧乏にさせるように)考えるのです。
個品割賦から、消費者金融へ、両方とも同じようなことをやっているんだなぁと。
金融ってこんなのばっかりなのかな。と悲しく、病んでいきます。
そして、ここでも結局、海外に行けるような話がなく、20代の貴重な1年を使ってしまうのです。
この時、既に28歳になっていました。
このマーケティング部に、MBAを取得してやってきた先輩も入ってきたため、海外に行くのも難しいなぁ、と感じ、もう自分で海外に行くしかない!と強く思うようになったのです。
2022.1.6